Passion ハンドメイド

キスリングを狩猟用に改良する計画①固定用ベルトをつけよう

 皆さんこんにちは。前回の趣味カテゴリー記事は「初めての真鍮クラフト」でしたが、今回は初めてのレザークラフト。少し前に師匠から頂いたキスリングザックを改良していきたいと思います。

キスリングザックの欠点

 結局忍び猟にはリュックが一番。音速の手のひら返しの記事で、少しだけご紹介したこちらのキスリングザック。機能は至ってシンプルで、メインの収納スペースと3つのポケットからなっています。おそらく昭和か平成初期の品物で、このザックを作った馬具店はだいぶ昔に閉店してしまったそうです。

 見た目や銃を肩付けするときのフィット感はなかなかですが“機能性”はイマイチです。例えば、僕が以前使っていたモンベルのザックは外側にスノーシューやスキーを固定することができました。ベルトやループも多く、用途に応じて様々な使い方をすることができました。しかしキスリングザックは、モノを必ず収納する必要があり、外側に道具を固定することができません。普段使いならそれで何も問題ありませんが、狩猟や有害駆除に使うとなると物足りません。

開け閉めにも少し時間がかかるね

 せっかく頂いたモノですし、そのままの状態で長く使うのもアリかとは思いますが、極端に言えば「命を預ける道具」でもあるので、自分の使いやすいようにどんどん手を加えていこうと思います。

スノーシューを固定したい

 まず初めに追加する機能は「スノーシューの固定機能」です。といっても、そんな大それたものではなく、固定するためのベルトを付けていきます。「なぜスノーシューなのか?」という疑問が浮かぶとは思いますが、北海道の残雪期を歩く中で、スノーシューの有無というのは大幅に進行速度を左右するためです。

 この時期(といっても今は林道もほとんど車で走れるようになりましたが)の残雪期の山というのは、雪はガリガリ、たまに地面が露出、表面上は雪があるが中は地熱で溶けて空洞、という条件になっています。朝の雪が締まっている時間はつぼ足(何も付けていない足)でも歩けますが、太陽が出るともう雪はビシャビシャ。おまけに地面と雪の間に空洞ができるのでつぼ足だとズボズボぬかるようになります。

四つ足の熊ですら、踏む場所によってはズボッとぬかるのです。でも、正直こういった足跡がないと追いきれません

 それを回避するためにスノーシューを履きますが、続いてやってくるのは地面に雪が無いゾーン。少しの区間なら土の上でも気にせず歩きますが、笹や枯れたイタドリがあるともう最悪。とてもスノーシューを履いたまま歩くことはできません。そしてしばらく歩くとまた雪ズボズボエリアがやってくる。という具合に、スノーシューを頻繁に履いたり脱いだりする季節、それが残雪期なのです。

 スノーシューをいちいち出したりしまったりすると余計に時間がかかりますしやる気も失せます。と、いうことでキスリングの外側にスノーシューを固定しようと思い立ったわけですね。雪がなくなったら用済みになるのではと思われる方も居るかもしれませんが、ベルトとループは何かと多用するので、あって困りません。

固定用ベルトを作ろう

 では早速、作業に取り掛かっていきましょう。今回は初めてのレザークラフト、せっかくもらったキスリングの雰囲気を壊さないためにも、気合を入れて作っていきたいと思います。

 まずはデザインを考えていきます。見た目はよく見るベルトですね。銀と書いてあるのは革の銀面。床と書いてあるのは革のトコ面です。

画が汚いのはラフ画だからですかね

 そしてそのデザインを基に型紙を作っていきます。型紙といっても、ただのノートを切って貼って大きくしたペラペラの紙ですが…。

足りない分は延長すればヨシッ!

 型紙用に買った厚めの画用紙は、スーパーで会計だけして袋詰めするところに置いてきてしまいました…。よくやっちゃうんですよね、画用紙とか大きいものって、どうしても袋に入らなかったりして「手で持っていけばいいや」ってなるじゃないですか。そうして、袋に他の食品やらなんやらを詰めた後、画用紙の存在を忘れてそのまま帰ってしまうわけですよ。まぁそんなの“いまっさら”ですよ!白紙だけにね!!!久々のブログ更新でこんな冴えた一言を思いつくなんて、“幸先が良し”ですな。画用紙だけに!!!ハハ

 そしたら、型紙を切り抜いて革に両面テープで貼り、型紙に沿って革を裁断していきます。今回使ったのはオルファのよく見るアートナイフです。

刃は各二枚ずつ入っている

 先っちょのバリエーションが3種類あるんですが、意外にも先のとがってないヤツ(四角いやつ)が一番使い勝手が良かったです。革包丁みたいに使えました。

 革を切り終えたら、トコ面を「トコノール」で磨いて、ベルト用金具を付けて革用ボンドで仮止めし、「ヘリ落とし」でヘリを整え、ベルトの穴の部分を空けていきます。すいません。作業に集中しすぎて写真まったく撮っていませんでした。

鋼製コンパスで等間隔に穴をあける

 唯一撮っていた一枚です。この「鋼製コンパス」で等間隔に印をつけ、それを基準に穴をあけていきます。シンワ測定さんの工具はいいですよね。ノギスもシンワさんのを使っています。まぁこの鋼製コンパスは本来金属なんかに円をかくためのコンパスで、革に線を引いたり印をつけたりする物ではないんですけどね。

 続いて、上の鋼製コンパスをつかって革のヘリから一定の幅のラインを引き、ラインに沿ってまた鋼製コンパスで4mm等間隔の印をつけて穴を開けていきます。

 穴をあけたら、キスリングの取り付け位置とベルトを貫通させるように「カシメ」を取り付けます。はじめてのカシメ打ちだったので、少し頭、と気持ちが凹んでしまいました。まあこれも思い出ですね。

カシメ(銀色の金具)の頭が凹んでいる

 そして最後の仕上げ。キスリングとベルトを縫い縫いしていきます。なんかよく、刺繍セットとか裁縫セットに、中世の貴族が着けている黄金の指輪みたいなの入ってるじゃないですか。今までなんのためにあるんだろうって思っていましたが、遂にその真価に気が付きました。あれがなかったら指が痛すぎて針を厚い布に通すことができません。

 今回使ったのは蝋引き済みの糸で、針も色も一通り入っていてこれ一つで縫い終えることができました。もちろん“金の指輪”も入っていますよ(キランッ)。

完成

 そして、完成したのがコチラです。

なかなかの出来だと思います

 極力見た目は元からついているベルトに寄せました。革も合わせようとしたのですが、もともと付いているベルトが何革を使っているのかわかりませんでした。

 はじめは使われているのが“サドルレザー”かと思い、今回作るベルトもサドルレザーを使おうかと思いましたが、高くて手が出せませんでした僕のシカの様にプリプリな脳みそで推理した結果、これはヌメ革が日焼けしたモノだという結論が導かれ、今回作るベルトも2.5mmのヌメ革を使用しました。結果は…日焼けしてみないとわかりませんね…。

スノーシューを二つ重ねてつけても大丈夫

 スノーシューもバッチリつけることができました。ベルト金具が他のベルトより一回り小さかったので、すこしベルト自体が細くなってしまいましたが、スノーシューの重量はせいぜい1.5kgなのでこれくらいなら耐えられそうです。また、上部分を留めただけだとプラプラ鬱陶しいので、次は下部を固定できるように両サイドを改良していきたいと思います。

影で生まれていた失敗作

 と、良い感じに締めようと思いましたが、一応失敗作についても載せておこうと思います。

ちょっとダサい

 失敗といいますか、微妙だったといいますか、これはベルト方式ではなく、「ジャンパーホック」というパチンと止まるタイプのボタンを使っています。デザインの段階ではそんなに違和感なかったのですが、いざ作ってみると、丸が連続していてカッコ悪い…。リコーダーみたいな見た目になってしまいました。まぁ、悪くはないと思うんですが、どうせなら納得いくものを作りたいと生まれた作品こそが、完成品のベルトですね。

まとめ

 いや~、レザークラフトには興味こそありましたが、道具をそろえるのが億劫なのと、いまいち作りたいものが思い浮かばなかったので手を付けていませんでした。しかし、やってみるとなかなか達成感ありますね。一度技法などを覚えてしまえば、様々なシーンで活躍しそうです。次の作品はキスリングのサイド部分の予定ですが、そのうちナイフシースなども作っていきたいと思います。

 ちなみに、今回レザークラフトをやるにあたって、こちらの本を参考にしました。結構高かった…。しかし、この一冊に知りたい事は全部書かれていたので買って後悔はありません。でも金の指輪については載ってませんでしたね。

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