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師匠にもらった山スキー(ゾンメルスキー)のビンディングを変えた話とついでに杖の話

 ゾンメルスキーと聞いてピンと来る人は、やはり秀岳荘のお膝元、北海道の方が多いのでしょうか。今回はスキー板の裏にアザラシの毛皮を貼った「山スキー(ゾンメルスキー)」について紹介していきたいと思います。

山スキー(ゾンメルスキー)とは

 山スキー(ゾンメルスキー)とは、主に雪の上を歩くことを目的として作られたスキーで、登山や森林での調査、狩猟等に使用されます。ふかふかの雪の上でもズッポリと沈むことがなく、スキーであるにも関わらず、緩い上り坂であればスイスイ上ることができます。スノーシューと違い、一度道を付けてしまえば徒歩よりもはるかに早く雪上を移動することができます。足が固定されておらず、かかとが浮くようになっているのも特徴的です。

スキー板が長く、裏にアザラシの毛皮が貼られている。

 普段はゾンメルスキーと呼んでいますが、正式な名称が少しややこしいようですね。もともと「ゾンメルスキー」は、ドイツの方で夏に残った雪渓を滑るための短いスキーを指すようですが、北海道の秀岳荘が販売しているアザラシの毛皮を貼ったスキーの商品名も同じく「ゾンメルスキー」で、ここから派生して、スキー板の裏にシールを貼ったスキーを一般的にゾンメルスキーと呼ぶようになったのではないかと言われています。詳しくはこちらのサイトを参照してください。「ゾンメルスキーはなぜ「ゾンメルスキー」なのか」

 山スキーは日本の雪山を滑るためのスキーの総称なので「山スキー」といっておけば間違いなさそうです。

なぜスキーで山を登ることができるのか

 仕組みはいたってシンプルです。スキー板の裏に貼られた毛皮が、進むときは寝て、戻るときは起きる。そうすることで斜面でも滑り落ちずに前へ足を踏み出すことが出来ます。

 スイスイ進める代わりに後戻りが難しい、まるで48回払いのローンのよう...いや、奨学金の借り入れのようなスキーですね!

進み方にはコツがある

 この山スキー、慣れればスイスイと進むことができるのですが、慣れないうちはとても苦戦します。山スキーでスムーズに進むためには「歩く」より「スライドする」という表現な方が適切で、画像のように腰を一定にして足を滑らせる必要があります。

 このスライドを意識せずに普段と同じように足を上げて進むと、めちゃくちゃ疲れます。スキーの利点は滑ることですから、滑らないと損ですよね。普通に歩くと大きなスノーシューを履いているのと同じになってしまいます。

 複数人で進んでいれば、先頭が付けた溝に従って進むだけなのでとても楽です。単独の場合や列の先頭に居る場合はふかふかの雪をラッセルする必要があるので、行き道はそれなりに体力を使います。帰りに同じ道を使うのであれば、スイスイと行きの2倍くらいの速さで帰ることが出来ます。

斜面を降りるのにもコツがある

 こちらの山スキー、なんといっても難しいのが斜面を下るときです。緩やかな斜面であればノーブレーキで気持ちよく降りることが出来ますが、それなりに勾配のある斜面を下るとなると乗り手の技量が試されます。平地は数回歩けば慣れるのですが、下りはコケてなんぼ。回数をこなして慣れるしかありません。そんな難しい下り斜面で登場するのが、こちらの木の杖です。

長さは1.6mほど

 この杖は師匠からもらったもので、ハルニレの木を使用しています。アイヌの方々が伝統的に使っており、一番適している材はナナカマドであると言われています。もちろん、師匠の杖はナナカマド。僕もそのうちナナカマド材を入手し、自分好みの杖を仕立てようと思っています。

 杖の使い方はこんな感じ。斜面を降りる時に杖をブレーキにしてスピードを調整しながら斜面を降ります。といっても、これもなかなか慣れが必要で、最初のうちはこけてブレーキをかける回数の方が多かったりします。杖はブレーキとして使う以外にも、先が二股になっているので、地面に突き刺してリュックをかけたり、銃を支えるモノポッドにしたりと、一本で三役担ってくれます。

服を脱いだりするときに便利

ビンディングを取り換えよう

 ただ、この師匠からもらった山スキー。だいぶ古いものでスキーを履くためには専用のブーツを履く必要があります。

こちらが専用のブーツ

 俗に言うスリーピンやファイブピンといったものですかね?スキーを履くためには必ずこのブーツを履かないといけません。

こちらがビンディング

 専用のブーツでしかスキーを履けないとなると、小さな問題が所々で発生します。昔からそのスタイルに慣れていれば特に気にならないかもしれませんが、僕は調査で「どの靴でも履ける山スキー」に慣れてしまっていたので札幌の秀岳荘にてビンディングを付け替えてもらいました。

こちらが新しいビンディング

 これが新しいビンディングです。スノーボードのビンディングに近いですかね。履くのも脱ぐのも簡単です。このビンディングだけで2足27,000円、付け替え工賃含めてぎりぎり3万円行かなかった記憶があります。なかなか高いですよね。でも、アザラシの毛皮の貼った山スキーを新品で買おうと思うと軽く5万円は超えるので、全然痛い出費ではありません。師匠と秀岳荘には感謝してもしきれないくらいです。

現場で足のサイズに合わせて調整可能

 ビンディングはフリーサイズで、長靴やブーツを履いた足のサイズに合わせて調整します。

山スキー+スノーシューで実質どこでも行ける

 山スキーを履いてリュックにスノーシューを装備すれば、ほとんどの雪山を攻略することができます。ビンディングを取り換えたことにより、履く靴を選ばないので、長靴に防水パンツとダクトテープを組み合わせれば、簡易ウェーダーとして川を渡ることもできます。

 正直、山スキーが無くても雪山忍び猟は出来ますが、スノーシューでのラッセルと、山スキーでのラッセルは労力が全く違います。山スキーがあれば活動範囲が広がること間違いなしですね。ただ、ガリガリの雪には向きませんし、水でぬらすと直ぐに毛皮が悪くなるのでその点は注意が必要です。

行きはツライ帰りはヨイヨイ

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