皆さんこんにちは「むっちりーの」です。今回はタイトル通りシカの脳みそを食べたお話です。
金カム飯シリーズとは
北海道・樺太を舞台とした漫画「ゴールデンカムイ」の作中に登場するレシピを、可能な限り再現し味わうシリーズです。金カムはゴールデンカムイの略称ですね。公式ホームページはコチラ
作中では、アイヌの考え方、マタギの考え方、食や命について考えさせられる描写が多々あります。自然の恵みに感謝して、しっかり味わう。それがこのシリーズのコンセプトです。決して面白半分、ゲテモノ料理紹介シリーズではありません。
シカを獲る
まずは材料の調達です。今回は農家さんの依頼もあり農地へ出没するシカをくくり罠で捕獲します。農地の裏の林へ入り、獣道を探します。ここは濃厚なシカ道がついており罠を設置するのに丁度いい木がたくさん生えているのでシカ捕獲の難易度は低めです。
※これは狩猟ではなく有害駆除です。狩猟免許とくくり罠を所持していても勝手に狩猟期間外に罠を設置してはいけません。
罠を設置して3日目、シカが獲れました。電殺器で止め刺しを行い、軽トラに運び出します。若いメスで非常においしそうな個体です。
有害駆除個体は市内の処分場にて無料で引き取ってもらえるのですが、僕はできるだけ食べたいですし、実際おいしいので基本的に解体します。ただ夏場の解体ということもあり肉がすぐに悪くなるので急いで解体しなくてはなりません。食中毒の危険もあるので個人的には夏場の解体はおすすめしません。
いざ実食
ゴールデンカムイ本編では、脳みそに塩をかけて生で食べていますが、取り出した脳みそはあまりにも脳みそで、テカテカのプルンプルンのほんのりピンクに精神がやられてしまいました。Wikipediaでも脳みその生食は危険と書いてあります(危険じゃない生食はない)。
この先、かなりがっつりと脳みその画像が挿入されます(一応ボカシてはある)。苦手な方は目次の「苦手な方はコチラから」を選択してください。心配な方は頭にたちポンや白子鍋を思い浮かべてからスクロールしてください。
流石に生は心のリミッターが外せず食べられませんでしたが、茹でて食べるなら抵抗ありません。早速脳みそを茹で上げます。ちなみに、茹でてもブリオンのリスクが減るわけではありません。自己責任で食べましょう。
グツグツ...
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出来上がりました。茹でた脳みそです。ボイルブレーンとでも言うのでしょうか。味付けは素材の味を活かすためにしていません(塩を忘れた)。では、いただきます。
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モチャッ…モチャッ…モチャッ…
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モチャッ…ンフッ…ゴクン…
苦手な方はコチラから
一言で言うなら、シカに首から上を支配されているような味でしょうか。舌の上をシカが駆け回り、鼻の穴から顔を出し周囲を警戒しています。一噛みするごとに口の中に広がる鹿フレーバー。野性味あふれた鹿の香りが鼻から突き抜けます。目を閉じると、先ほどまで解体していた鹿がフラッシュバックします。流石に目を閉じるのはやめました。というよりむしろ、目をガン開きにして強い精神力で咀嚼しなければ、飲み込めない気がしました。
肝心の味はというと、真面目に例えればほとんど白子です。それが鹿で味付けがなく、口の中の水分が全て持っていかれるくらい「モッタリ」していることを除けば、マダラの白子と表現しても差し支えありません。
読者の皆さんは「おいしいの?」と聞きたくなるかもしれません。ここでおいしいと明言することは残念ながらできませんが、ポン酢があればなかなかイケる味です。モッタリした口を精一杯動かし、嚥下しました。
ごちそうさまでした。
食べ終わっての感想
今回の反省点として、茹でてしまったのが一つ食味を損ねた原因なのではないかと思います。今回、食感としては口の中一杯にクリームチーズを頬張ったときのような「モッタリ」とした食感が印象的でした。脳みそ自体は高野豆腐のような質感で、口の中の水分さえ確保されればかなりおいしく頂けたのではないでしょうか。マイルドポン酢を片手に食べるなら2回でも3回でも食べられる自信があります。
「余すことなく頂く」というのは言葉以上に難しいものです。普段なかなかたべる機会のなかった脳みそを食すことができたのは非常にいい経験になりました。恐らくゴールデンカムイを読んでいなかったら、脳みそを食べるという発想にも至っていなかったでしょう。ヒンナでした。
ちなみに、この「ヒンナ」という言葉、「おいしい」という意味ではありません。ヒンナという言葉を調べると以下のように出てきます。
ヒンナは「美味しい」の意味ではない。「感謝」「ありがとう」の意味である。
フリーライター角田陽一
日本語の「おいしい」よりも、「ありがとう」といった意味合いが強いんですね。
最後に、僕が大事にしている言葉に「食べて供養」という言葉があります。周りの猟師さんも、「少しでも食べて供養してやりたい」と口にする猟師さんは少なくありません。駆除や狩猟に関わらず、ただ殺すだけでなく、相手を食して文字通り命を頂く、その肉が自分の体に消化吸収され空腹を満たす。この一連の流れを体感して、自分の「いただきます」という言葉の重みが、少し変わったように感じます。ヒンナヒンナ。