Hunting 猟記

猟日誌6-7-8-9「遂に初物。水鳥の女王」

 皆さんこんにちは。やっっっと狩猟解禁日以来初の獲物を仕留めました。「初めての獲物はカモかキジ」なんて生意気な事を言っていましたが。やっと叶いました。

 猟としては9回目、期間としては1カ月です。何度もカモに飛ばれ、エアライフルを曲げ、滑って転んで沼にハマる。色々ありました。いつも通り猟日誌形式で綴っていきますが、カモを仕留めた11月4日の記事だけボリューミーになっております。

10月27日(木)

日付2022年10月27日(木)
日の出入り5:59-16:34
出猟時気温2℃
天気晴れ
出発時刻6:10
猟果ナシ

 この日は朝の気温が2℃。日の出時刻には既に池に居ようと思うのですが、なかなか布団から出ることが出来ません。Nクールを使っているからでしょうか。そろそろ衣替えの時期ですね。いつもは林道を歩いて獲物を探すのですが、今回は藪を漕いで池を一周してみました。朝2℃とは言え、この時期はまだかなりの量のダニが付きますね。池を周り終えていつもの場所へ出ると、岸部で寝ているカルガモを発見します。目測で65mくらいかなと思い、レチクルをカモの頭から少し上に合わせて撃ちますが、そのままカモの頭の上に着弾しました。50m丁度くらいだったのかもしれません。カモは飛び起きて飛び去って行きました。

 この頃から「自分の今の猟のスタイルはダメだ、もっとストイックにやらないとカモは獲れない」と思うようになりました。

10月28日(金)

日付2022年10月28日(金)
日の出入り6:01-16:33
出猟時気温11℃
天気晴れ
出発時刻6:30
猟果ナシ

 昨日は朝2℃と寒かったのに、なんと今日は11℃。気温の変化が激しいですね。毎朝6時に起きて8時半には出勤するために家に戻る。というのを繰り返しているので、だんだんと出猟時刻が遅くなっていきます。池についてすぐ、距離30mほどのところで寝ているカモを見つけます。うまく忍べたのでカモもコチラに気付いていません。しかし、コガモのような見た目ですが全体的に体が黒く、いまいち何ガモかわかりません。ハンドブックを開き、コガモのエクリプスと照らし合わせてコガモだと確信したタイミングでカモは飛んでいきました。

 その後、藪を漕ぎながらよくカモが溜まっている場所に向かいます。沢が歩ける深さになっていたので沢から池へアクセスしようとしたその時です。

ズボッ!!!!

 足が膝上まで沈みます。完全に油断していました。しかも完全に両足がハマっています。ひとまず銃を高台に避難させ、脱出を試みますが、下手に動くと余計沈みそうだったので一旦落ち着きます。これは完全にアレです。サバイバルドキュメンタリー等で見る、沼にハマった時の対処法のシーンまんまです。「日本でそんなシチュエーションあんのか~?」とか思っていましたが、まさか自分がハマる側になるとは思いませんでした。出来るだけ接地面積が大きくなるように泥の上を平泳ぎするような体制になり。ゆっくりと足を抜いていきます。後程トレッキングポールで確認しましたがどうやら底なし沼という訳ではなく、1.2mくらいで硬い地面に突き当たりました。何にせよ、下半身ドロドロの靴の中まで泥まみれだったので、沢で靴と靴下を洗います。これがまためちゃくちゃ冷たいんですよね。

 その後、「カモワッチテンチョ」という商品の記事を書くために少し山へ入り、カモワッチテンチョを設営したのですが、まさかの外からの画を撮り忘れるという凡ミス。テントの中でカロリーメイトと水を摂取して一息つき、重い足取りで帰宅します。

思わぬところに危険が潜んでいる

10月31日(月)

日付2022年10月31日(月)
日の出入り6:04-16:29
出猟時気温3℃
天気晴れ
出発時刻6:30
猟果ナシ

 この日はいつもと違う池へ行きました。水面にはコガモのようなカモが7羽おり、100mほど離れていたので、屈みながらこっそりと近づいていきます。めちゃくちゃ体勢を低くしているので、腰の痛みを我慢しながら強い精神力で進んでいきますが。そろそろ良いだろうと思って顔を上げるとカモ達はスイスイと泳いで100m以上離れたところに居ました。残ったのは汗まみれの息を切らしたオレンジの人だけでした。

 その後、足元をよく見ながら帰っていると、空薬莢を見つけます。拾って持ち帰ることなんて1ミリも難しい事じゃないのに、どうして捨てていくんですかね。

11月4日(金)

日付2022年11月04日(金)
日の出入り6:04-16:25
出猟時気温6℃
天気
出発時刻8:30
猟果マガモ(メス)

サケの打ち上がる湖畔

 この日、僕はとある用事で有給を使いオホーツク方面へ来ていました。朝から雪がちらつき、秋の終わりを感じる一日でした。Googleマップと銃猟禁止区域を照らし合わせ、カモが居そうな池を探します。20分程車を走らせると、水面にびっしりカモのいる湖に辿り着きました。その湖では漁師さんがワカサギ漁をやっており、たまたま目の前を通った漁師さんに声をかけカモ撃ちをしたい旨を伝えると、「そこ俺ん家だからそこに車停めればいいべ」と車を停めさせてくれました。漁師さん曰く、この湖には二人、ボートでカモ撃ちをやる人がいるらしく土日になるとハンターが目立つそう。

 車を降りてさっそく装備を整えます。まずは下見がてら湖周辺を適当に歩きます。いやぁしかし、流石北海道と言いますか、浜辺にはサケの死骸が打ち上げられています。湖にはカモ以外にも、カイツブリやカモメが浮かび、頭の上には尾羽の白い猛禽が飛んでいます。オジロワシのような見た目でしたが、カラスより一回り大きく、たしか名前が…なんだっけ。

浜辺に打ち上げられたサケ

獲物との出会い

 さて、ここから本腰を入れて獲物を探すわけですが、150m先にはうじゃうじゃカモが居ますが、射程圏内で探すとなるのなかなかの難易度です。まず湖の周囲は自分の背よりも高いヨシのような草本が密生しており、かき分けていく必要があります。しかも、朝露で冷たく濡れているためなかなかに辛い藪漕ぎです。

肌が乾燥しているため枯草で皮膚が切れる

 草をかき分け、湖へつながる川を覗くと、居ました。マガモです。5羽ほど居ます。しかし見通しが悪く射線が確保できないため、ある作戦を決行します。その名も「ダックコール作戦」。だいぶ前に購入し、未だ活躍の機会のないダックコールですが、ここでひと暴れしてもらいましょう。そっとダックコールを取り出し唇を当てます。

ブェッ!!ブェッ!!ブェッ!!(笛を吹く音)

バチャバチャバチャ!!!

 瞬く間に羽ばたいていきました・・・。僕の笛の音が相当悪かったのでしょうか。せっかくの大チャンスを無駄にしてしまい後悔の念が押し寄せます。しかしどうでしょう。水面を双眼鏡でよくよく確認すると、一羽残っているじゃありませんか。マガモのメスです。

 しかし、相手は歴戦の野生動物。人の気配に気が付いたのか、スイスイと泳いで離れていきます。レンジファインダーなんて覗いている暇はありません。弾倉を銃に差し込みボルトを引きます。スリングを腕に巻き、スッと息を吸います。

パシュッ・・・パシーン!!

 音が鳴ると同時に、カモの頭が水面に倒れます。特に暴れる様子もなくプカプカと水面に浮かんでいます。胸の高鳴りを抑え、回収作業に移りますが、本当の闘いはここからでした。

裸一貫!男のリトリーブ

 おそらく30m程の距離で撃ったので、まずは一番近付ける場所まで藪を漕いでいきます。自作の鴨キャッチャーと、車から高枝切りばさみも降ろしておきます。準備万端、勇んで回収作業に入りますが、なんとこれに大苦戦。川幅が4m程あり、カモが藪の下に入り込んでいるため鴨キャッチャーが届きません。ピン撃ちベイトロッドなら行けたかもしれませんが、この時の竿はスピニングリール。僕が基本ベイト派というのもあり思うように操れません。更には高枝切りばさみも届かないという始末。

 対岸に回ることもできず、1時間ほど格闘して出した答えは「セルフリトリーブ」。しかしさすがに2分ほど悩みました。まず雪が降るような日に湖に入るという行為は、心臓麻痺などのリスクを伴います。ましてやタオル等の装備もありません。周囲に人もいないため万が一にも備えられません。この後相棒に叱られました。←当然

足元が草のため水と陸の境界がわかりにくい

 いやしかし、偶然っていうのはあるもので、僕は人より寒中水泳を経験しているタイプの人でした。高校生の頃、毎年大晦日は仲の良い友人とご来光を見に行き、帰り道に川で寒中水泳を行い一年の抱負を叫ぶという青春真っ盛りな行事を行っていたのです。まさかこんなところで経験が生きるとは人生何があるかわかりませんね。

 まず、寒中水泳を行うにあたって重要な点が3つあります。一つ目は「準備運動をしっかりすること」です。なんでもイキナリは良くありません。体の準備運動だけでなく「自分はこれから冷たい水に入るんだ」と意識することで、心の準備も整います。次に「足先から徐々に水に慣らす」ことが重要です。イキナリ胸まで浸かるのは自殺行為です。足先から徐々に入水し、膝や太ももに水をかけ体を慣らしていきます。しかし、これに時間をかけすぎてもいけません。10分や15分も慣らし作業をしていると、いざ水中で動けなくなってしまいます。最後のポイントは「上がった後はしっかり体を拭くこと」です。言わずもがな、周囲の気温が10℃を下回る中で、濡れた体、濡れた服で居たら風邪をひいてしまいます。風邪で済めばいいですけどね。

 さて、まずは十分なストレッチを行い、体と心のスイッチを入れます。Tシャツは濡れた体を拭く用に、靴下やズボンは末端を温めるために脱いでおきます。つまりこの時点でパンツ一丁です。パンツ一丁の男が湖畔でストレッチしていたら、変態以外の何物でもないですよね。しかし、幸運なことに僕の周囲は自分の背よりも高い草で覆われており、誰かに見られることはありません。本当はパンツも脱ぎたかったのですが、流石に何かあったとき社会的な死亡を避けられないため脱ぎませんでした。

やっとの思いで回収したマガモ

 お疲れ様でした。水から上がり体を拭き、服を着てスクワットを30回行います。首から上は浸かっていないので、そんなに寒くありません。スクワット効果も表れ体はだいぶポカポカです。何というか、一皮剥けたような感じがします。

 肝心のカモは目の後ろをペレットが貫通していました。改めてみると結構大きく、手にずっしり重みが伝わってきます。感謝して頂きます。

今回のヒットポイント

 その場で羽を抜き、キャンプの火起こし用バーナーで産毛を焼いていきます。むしった羽はしっかりごみ袋に入れ持ち帰ります。フライタイイング用に少しだけ別の袋に分けておきました。僕はフライフィッシングはやらないのですが、後輩が興味あるそうなので羽を分けてあげます。ついでに一本針を編んでもらいます。

既においしそう

 ここまでくるともう「お肉」ですね。内臓の処理については、現場でした方が良い説とエアライフルでヘッドorネックショットをしている場合は現場でやる必要がないという説、どちらも聞きますが、ひとまず内臓まで処理をしておきました。僕の所属している猟友会の支部長が「カモを獲ったら絶対に水で洗うな」と仰っていたので、洗わずに持ち帰ります。

その後

 その後、まだカモの鳴き声がするので、もう一度装備を整えカモ撃ちを続行します。しかし、実は寒中水泳をしているあたりから、「ブゥーーーン」というエンジン音と共にズドンッと重く低い音が響き渡っていました。例のボートのショットガンハンターでしょうか。湖はかなり広いので、あっちこっち走り回り散弾銃をぶっ放しているのでしょう。僕がカモをさばき終わるまでに20発は銃声が聞こえてきました。僕が忍んでいる藪の近くまで来ることもあり、3回ほどカモが散らされてしまいました。

 正直自分が撃たれないか、かなり冷や冷やしましたが、こちらの存在を知らせる前に次のポイントへボートで走って行ってしまうのでコンタクトが取れません。仕方がないので今度記事にする予定の「カモワッチテンチョ」を建て、その中でダックコールの練習をしながら待ち猟をすることにしました。実はこの数時間で僕はダックコールのコツを掴んでいたのです。たまたまカモの解体中に近くにカモが着水することがあったのですが、着水した直後にグァーッグァッッグァッグァッと鳴いていました。この鳴き声を笛でまねると、何という事でしょう、上空から鴨が舞い降り近くの水面に着水します。コツを掴んだ僕は、さっそくカモワッチテンチョの中でダックコールを拭きます。

ブェーーッ!!ブェッ..!ブェッ..!ブッ!

 3分ほど吹いたりやめたりを繰り返していると、遠方で散弾銃に散らされたと思われるカモが頭上から水面へ着水します。が、しかし・・・

ブゥーーーーーーーン!!!!

 とモーターボートまでやってきてしまい、エンジン音でカモが飛んで行ってしまいます。気を取り直して再度ダックコールを吹きます。

ブェーーッ!!ブェッ..!ブェッ..!ブッ!

ブゥーーーーーーーン!!!!

 今度はカモより先にモーターボートが来てしまいました。しかし声をかけられる距離までは来ないですし、そのまま藪の中から姿を出したら反射的に撃たれそうで怖かったのでおとなしくしていました。

 僕が朝来てから4時間ほど経過しましたが、モーターボートはかれこれ3時間程走っているでしょうか。恐らく30発近く撃っています。遠目から見ると一人で乗っているのですが、そんなに獲れないもんでしょうか?まぁ僕もクレー射撃はまったく当たらないですし、ボートでの鳥撃ちにはボートならではの難しさや奥深さ、面白さがあるのでしょう。カモが散々散らされて少々腹の立っていた僕ですが、猟場は自分だけのものじゃないですし、相手からすれば僕が余所者なので、テンチョの中でボーーッと前の湖面にカモが着水するのを待っていました。

近々記事にする予定のカモワッチテンチョ

 午後2時半頃になると、ほとんどカモの姿も見えなくなり、代わりにドローンがブィーーンと音を立てて頭上を通りすぎます。誰が飛ばしているのかわかりませんが、地上から4m程の高度で飛んでいるのでカモの偵察でしょうか?ドローンを見ても驚かない自分にビックリです。だいぶ身近なものになりましたね。この日はモーターボートもドローンも居るので、もう頃合いかなと思い切り上げました。

感想

 いやぁ~ずいぶん長い記事になってしまいました。カモはその後持ち帰り、ラーメンにして食したのですが、それはまた別で記事を書こうかと思っています。→「染みわたる旨味。鴨出汁ラーメンを作って食べる話

 初物、嬉しいですね。今まで空振りが多かった分、嬉しさがジワジワとこみ上げてきます。本当はもっとじっくり感想を語りたいのですが、ここまで約6千文字書いているので流石に疲れてきてしまいました。兎にも角にも、巡り巡ってやっと頂いたこの命、心から感謝していただこうと思います!

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