まず大前提として、この記事は超初心者向けです。ベテランの方からすると「コイツは何をそんな当たり前のこと言っているんだ??」というシーンもたくさんあると思いますがご容赦ください。そして今回の記事は僕の過去の醜態を晒す記事…。悔しい!なぜそんな当たり前の事に気が付かなかったのか…。
50mゼロインで外しまくっていた日々
皆さん、スコープって何mで合わせていますか?もちろん、銃や猟場によるとは思いますが僕は50mで合わせていました。理由は「当たりそうだから、とりあえず50m」こんな感じです。
初めての銃で初めてのゼロインですから、自分が撃つシチュエーションや獲物との距離感をまったくわかっていないわけです。そして銃のことを信用していない。というか、自分の銃がどこまで出来る子か知らないわけです。一般的にハーフライフルは150mまで狙うことが出来ると言われていますが「150mまで狙える銃なら、50mで合わせれば確実に狙ったところに当たるだろう」という考えもありました。
その結果どうなったかと言いますと、外しまくりです。50mって意外とすぐそこなんですよね。人間の目はなかなかいい加減にできていて、50mだと思えばどんな距離でも大体50mな気がしてくるんです。バイタル狙いならそこそこ当たるかもしれないですが、僕はヘッドorネックを基本狙うようにしているのでそれはもうたくさん逃がしました。
しかも、50mで獲物と会うシーンというのはおおかた不意な遭遇です。シカもビックリして動きませんが、少しでも音を立てたり動きが気取られたりすると一瞬でシカが飛ぶため、こっちもなかなか動けません。そういう意味でも、北海道で50mというシチュエーションはなかなか限定的なのです。
100mで合わせると世界が変わる!
50mで外しまくりな日々を送っていた僕ですが、人に言われるまでゼロインの距離を変えようと思いませんでした。なぜなら「獲物が獲れないのは自分の技術に問題がある」と考えていたからです。恐らくそれも間違いではありませんし、結果的に忍びの技術を伸ばすことに繋がりました。
しかしある日、とてもお世話になっている先輩猟師からこんなことを言われました。「クマをやるなら100mで合わせた方が良い。50mまで近づく技術よりも、100mで狙ったところに間違いなく当てる技術が必要だ。」まさしくその通りだと思いました。それから、100mでゼロインしてどうなったと思いますか...?
一発も外すことなく撃った獲物は全て即倒しています
なぜ当たるようになったのか
直近の3頭を例に考えてみましょう。3頭はいずれも70m~80mの距離でした。恐らく、僕の住んでいる地域ではこの距離が、シカが人間を許容できる限界の距離なんだと思います。僕としては100mで的紙にしっかり当たることはもうわかっているので80m先でシカを見つけてもだいぶ心に余裕があります。心に余裕があると、レンジファインダーで正確な距離を計測することもできますし、委託場所を探したり射線がしっかり通っているか確認したりすることもできます。この心の余裕が猟果に繋がっていると思います。
ただ、このシカが人間を許容できる距離っていうのは地形や狩猟圧によって全然異なると思いますので、狩猟圧が高くて見通しの利く道東地域なんかだと、150mすら近付けないかもしれません。いつもどのくらいの距離で逃げられるのか覚えておく、これが大事ですね。
目から鱗!正しいスコープの合わせ方
皆さん、スコープのダイヤルに1クリックあたりの移動距離が書かれているなんて、知ってましたか?いや~まさに目から鱗!僕は最近初めて知りました!!ハハッ!!
僕がやっていた間違った合わせ方
こちらの画像をご覧ください。
デュプレックスの「DUPO28」とバーンズの「VOR-TX」はどのくらいズレるのか。12番ハーフライフルで比較
これは僕がサボット弾の50mゼロインを行った際の的紙です。この画像から察しがつくかもしれませんが、ゼロインの仕方はこうです。
ズドーン(お、だいぶ上だな。ということはもっとダウンにダイヤル回すか)・・・カチカチカチカチカチ・・・・ズドーン(ちょっと下に行きすぎちゃったな。もう少し上で気持ち左にずらしたいな)・・・カチカチカチ・・・ズドーン(あらら、左に行きすぎてしまった。右右)・・・カチカチカチ
どうですか?これがゼロインの仕方をしっかりと勉強せずに射撃場に行った人間の思考回路です。実際、ダイヤルに文字が書かれているのは知っていましたが、なんかアルファベットと数字ばかりで読む気になりませんでした。←オイ
正しいスコープの合わせ方
ここからは、初歩的な「ボアサイティング」などの手順は省略して、50mゼロインしていたスコープを100mに合わせなおすというシチュエーションを想定して話をしていきます。超初心者向けとは...?
まず100m先の的紙の中心を狙って数発撃ちます。最悪1発でも良いですが、ガク引きやフリンチングが起こる可能性を考慮して3発ほど撃った方が良いでしょう。
すると、使っている銃や弾によってはもっとバラけるかもしれませんが、うまくいったとしたら大体このような感じに纏まると思います。
次に的紙を一度外してもらい、手元でしっかりと着弾点を確認します。この辺の手順は射撃場によって異なると思うので一概には言えませんが、僕がよく使う射撃場であれば的紙交換をお願いすることになりますかね。
上の画像だと、3発がまとまって1発は少し離れたところに着弾していますよね。ガク引きしたりすると右下にズレて着弾したりするので、この離れた一発は無視します。
注目すべきは纏まっている3発で、スコープの中心(的の中心)から、この3発の中心点(大体で良い)が横に何cm、縦に何cmズレているのか計測します。この画像だと、右に9.5cm、下に7.5cmズレていますね。このズレさえわかれば、もうほとんどゼロイン終了といっても過言ではありません。
そしてここで活躍するのがレチクルの表記です。
もう一度言います。ここで活躍するのがレチクルの表記です。
まず、なんて書いてあるかしっかり読みましょう。僕の場合は…。
1click=7mm/100m
つまり、1クリックすると100m先でレチクルが7mm動くという意味です。これ凄くないですか??
上の的紙のように右に9.5cm(95mm)、下に7.5cm(75mm)着弾点がズレている場合、ダイヤルを左に13クリックor14クリック(95mm÷7mm=13.5)、上に10クリックor11クリック(75mm÷7mm=10.7)することによって、着弾点をレチクルの中心に持ってくることが出来るわけです!!!
すごくないですか!!??
そして、その状態で撃つことによって、理論上はゼロインが完了するわけです。
50mで合わせる場合は、1クリックでレチクルが3.5mm動くので同じように着弾点を調整すればいいですし、ヤードとインチで書かれている場合は自分が慣れ親しんでいるメートル法にスマホでチャチャッと変換してしまいましょう。
ともあれ、この方法を使うことによって、より効率的にゼロインを行うことが出来るのです!!!!!
え?常識…?やめてくださいよそんなこと言うの……。僕がコレに気付かず一体何発の弾を無駄にしたと思ってるんですか…。はぁ…。先人たちが様々なブログやSNSで正しいゼロイン方法を発信しているというのに何がZ世代だろうか…。
まとめ
まぁ結局、スコープを何メートルで合わせるかなんて個人の自由なのですが、もしハーフライフルの銃身を使っていて、獲物に弾が当たらない症候群の人が居たら、100mゼロインを試してみてください。ちゃんとしたゼロイン法を行えば、弾の消費も少なくて済みますよ(グサリ...)。実際、僕は50mから100mに変える時、4発で終わりました。そしてその後獲物を逃がしていません。ちなみに、50mで合わせる時は10発使いました。この時もちゃんとしたゼロイン法を使っていればもっと少ない弾数で済んだと思いますが、感覚でカチカチカチーって…誰か僕を罵ってください…。
何はともあれ、50mから100mにゼロインしなおしたことで、しっかり獲物が獲れるようになりましたし、失いかけていた自信も戻ってきて、めでたしめでたし!!