今回は、今年の4月に購入し約4カ月間使用したモーラナイフの「Garberg(ガーバーグ)」についてレビューしていきたいと思います。
目次
モーラナイフ「Carbarg」とは
Garbergとは、モーラナイフから販売されているフルタング構造のナイフで、ステンレス鋼と炭素鋼の二つのモデルが用意されています。また、ファイヤースターターやダイヤモンドシャープナーが付属した「Garberg Survival Kit」というモデルも展開されています。
今回僕が購入したのは、このサバイバルキット付きのモデルになります。値段はサバイバルキットなしのナイフ+シースだけのモデルで約10,000円、サバイバルキットが付属すると約12,500円と、なかなか強気な値段設定となっています。
モーラナイフ ガーバーグ←2024年12月現在、約2,000円値上がりしています。
スペック
ナイフのスペックは以下の通りです。ハンドルが「ポリアミド」となっていますが、いわゆるナイロン的な樹脂です。血が沁み込んだり毛が挟まったりする心配もありません。
構造 | フルタング |
ハンドル | ポリアミド |
ブレード | ステンレス鋼 |
刃の長さ | 109mm |
刃の厚み | 3.2mm |
全長 | 229mm |
重量 | 170g |

サバイバルキット
サバイバルキットとして付属するのは、ダイヤモンドシャープナー、ファイヤースターター、パラコードの3点です。公式によりますと、ファイヤースターターはナイフの背面とナイフの柄から突き出たタング部分?でこすることができるそうです。

モーラナイフの王道「コンパニオン」との違い
モーラナイフと言えば、安い切れる使いやすいの三拍子がそろった「コンパニオン」がメジャーです。初めてのナイフ(ナイフっぽいナイフ)にモーラナイフのコンパニオンを持つ人は少なくないのではないでしょうか。
コンパニオンは3/4スティックタングといって、柄の大体3/4あたりまで刀身が入っています。刃幅は2.5mmで重量84gとなるため、コンパニオンの方が薄く軽く細いという事になります。いや、逆ですね、ガーバーグの方が分厚く重たく頑丈ということになります。コンパニオンは約2200円~3000円と比較的安価に購入できるという点が強みです。
実際にガーバーグを4カ月間使ってみて
実際に4カ月間使用したといっても、キャンプには使っていないので、フェザースティック作りやバトニング?は行っていません。もっぱら狩猟用です。使い方は、弾入れと一緒に常にベルトにぶら下げるスタイルで持ち運びしています。使うシーンは、止め刺し用ナイフを忘れたときの補欠要員、シカから背ロースだけを抜くときや、檻罠用にモモやカタなどを大バラシするとき、後は解体用ナイフを取り出すのがめんどくさくてこれ一本で済ませてしまうときです。全然メインの一本ではありません←。
切れ味と刃の持ち
切れ味に関しては、めちゃくちゃ切れると言うほどでもありません。まったく切れないわけでもありません。可もなく不可もなくです。当たり前ですが、砥げば切れるし砥がなければ切れない従順なナイフだと思います。
ステンレス鋼なので切れ味の持続性もいいかなーと思ったんですけど、やっぱり解体に使うとそうでもないですね。クマやシカを解体していると脂で刃がやられ、後半は殆ど切れなくなります。感覚としては、定規で解体を行っているような感覚です。

そして、「フルタングだしステンレスだし刃も厚いから」といってガンガン骨にあてたりしていると、普通に刃こぼれします。いやぁ…はは笑。普通に刃こぼれしますね。まぁこれは、ナイフが悪いというよりは使い手が悪いという話になるかと思いますが、頑丈だからと性能を過信しすぎるのは良くないかもしれません。
ロマン溢れるサバイバルキット
ファイヤースターターとダイヤモンドシャープナー、そしてパラコードですが…。1ミリも使いません。「クマやシカを解体していると脂で刃がやられ、後半は殆ど切れなくなります。」だったらダイヤモンドシャープナーを使えばいいじゃない!!となりますよね?
使いません。刃は脂ギッシュだし、解体中にわざわざシースを腰から取り外してシャープナーでナイフをシャッシャッなんて、しないですね。細かいバラシは家のよく切れる包丁でやるので、現場では皮を剥ぐ、四つ足を外す、ロースやタンを取る、くらいしか行いません。ぶっちゃけ切れないナイフでもなんとかなってしまいます。
そして、ファイヤースターター、使わないですね。忍びで山に入るときは必ずマッチとライターを持っていきますし、ちまちまとフェザースティックを作ったりしません。そのへんの白樺の樹皮を剥いでトドマツの細枝でも重ねてやれば、マッチ一本で火が点きます。極めつけはパラコード。「いや、1万円のナイフ買う人なら皆もっとるやろがいっ」と思わずつっこんでしまいそうでした。いや、あれば便利ですけどね?
総合評価
さて、総合的な評価は…。「可もなく不可もなく」ですかね。キャンプで極力持ち物を減らしたい、火起こしからこだわりたいって人はサバイバルキット有りが良いと思いますが、ハンターには恐らく必要ありません。正直、また10,000円払って同じナイフを買うかと言われますと、僕は買わない気がします。モーラナイフというブランドが好きな方にはとても魅力的だと思いますが、性能的にはAmazonにて3,000円くらいで売られているフルタングナイフと大差ないかと思います。ただ、シースのハマり具合や、洗いやすさなどは流石老舗メーカーといったところでしょうか、ところどころに作りの良さを感じます。あとは握り具合と持った時のバランス、これも手にしっくりと来る感じは流石といったところでしょうか。モーラナイフというブランドが好きで、ガシガシ使えるフルタングナイフが欲しいと言う方はおすすめの一本ですね。
Amazonのレビューが良いレビューばかりなので、少々辛口に評価したつもりですが、そもそも僕の用途と製品のコンセプトがマッチしていない感じはします。僕も成り行きで手にした一本なので、愛情が足りてないかもしれません。止め刺し放血に用いるナイフは「2000円の放血用ナイフをレビュー。PS.モーラのフルタングナイフを入手しました」のシースナイフが圧倒的に使いやすいです。
後日談(2024年12月)
こちらの記事を書いてから、1年と少しが経ちました。途中からレビュー物の記事に星をつけるようになったのですが、この記事に付けた星の数は5つ。それが何を意味するかと言いますと...このカーバーグにめちゃくちゃお世話になっている。ということですね。上の段落では可もなく不可もなくなぞ言っておいてどういうこっちゃ、と思われる方も居るかと思います。そのあたり、アッサリじっくり書いていきます。
10,000円超えたナイフは無くさない
2000円のナイフは、だいぶ早い段階で無くしてしまいました。山の中で。確かに、血抜きという要素に限るのであれば2000円のナイフの方が圧倒的に使いやすく、抜けも良かったです。しかし、2000円という手頃さゆえ、ただでさえ雑なナイフの扱いがより雑になってしまう節がありました。そして、最終的に地面に突き刺したまま無くしてしまうと...。
ところがどっこい、こちらのカーバーグは、高いという潜在意識があるのか、なかなか無くしません。いや、僕自身がナイフの扱いにさらに気を遣うようになったというのももちろんありますよ。でもやはり、「あれ?ナイフ車に積んだかな?」と考える機会が増えました。それが値段由来なのか僕の過去の過ち由来なのかはハッキリとしませんが、今も手元に残っているという事実だけが、真実を知っているようです。
滅茶苦茶な使い方をする分、メチャクチャ使う
あと、このカーバーグ、かなり刀身が太いんですよね。それ故の安心感というのはあります。結構ガシガシとハードに使っても、使い続けられる自信が湧いてくるんですね。切れ味はすぐに落ちますが、正直解体なんて金物の定規一本あれば大体なんとかなるので(嘘)、要は頑丈さ=正義なんです。
余計なアタッチメントはいらない
もしかすると記事本文にも書いているかもしれませんが、ファイヤースターターはかなり早い段階で無くしました。だってあんな小さくて黒くて穴にハマってるだけのモノ、山でハードに動いて無くさないわけないじゃないですか。ギリギリ、ダイヤモンドシャープナーはまだ使います。解体中どうしても切れなくなったときは、シャッシャッとこすれば”ある程度”は回復します。でも、普通にシャープナーも持っているので、よほどのことが無い限りそっち使うかな?といった感じ。